この記事では、個人投資家が「不動産投資はやめとけ」と言われる理由と、初心者が失敗リスクを抑える最初の一歩を解説します。
個人で不動産投資を始めたいものの、空室や修繕、ローンに不安がある方へ、今回は投資目的と資金計画の整理方法をまとめました。
また、REITや不動産クラウドファンディング、現物不動産投資で小さく始める方法と、初めての物件を選ぶ基準に加え、個人投資家が不動産投資を始める際に確認したい融資条件や出口戦略、販売資料の検証方法を紹介します。
「9割が負ける」説や、若いうちに始めるほうがいいのかも確認し、自分に合う始め方を考える参考にしてください。
個人投資家の不動産投資は目的と資金計画の整理から始める
個人投資家の不動産投資は、目的と資金計画の整理から始めるのが基本です。
家賃収入を毎月の収入源にしたいケースと、長期の資産形成を目指すケースでは、選ぶ方法や保有期間が異なります。
まず、購入できる上限額ではなく、無理なく保有を続けられる金額を考えます。生活費、自宅購入費、教育費に充てる予定の資金は、投資資金と分けて管理しましょう。
現物不動産の予算には、頭金と購入諸費用だけでなく、購入後の支出も含めることが大切です。
空室中のローン返済や突発的な修繕に充てる資金も確保し、毎月の手残り、保有期間、売却時のローン残高まで整理すると、購入後の見通しを立てやすくなります。
現物不動産の負担が目的や家計に合わなければ、REITも比較対象となります。
物件を探す前に基準を定めておけば、利回りや営業担当者の説明だけに左右されにくくなるでしょう。
個人投資家が「不動産投資はやめとけ」と言われる5つの理由

個人投資家が「不動産投資はやめとけ」と言われる背景には、収入と支出のずれがあります。
まず、家賃収入が途切れても、ローン返済や管理費の支払いが原則として続く点に注意が必要です。さらに、表面利回りだけでは、修繕費や税金を引いた手残りを把握しきれない点も押さえておきましょう。
空室、金利上昇、売却の長期化が重なる場面も想定されます。
「やめとけ」という言葉だけで結論を出さず、5つのリスクに耐えられるかを見極める視点が大切です。
1.空室と家賃下落が続くとローン返済の負担が重くなる
空室と家賃下落は、不動産投資の収入を直接減らす要因です。
入居者がいない期間も、ローン返済や管理費の支出は続きます。そのため、年間収支には空室期間を設けた試算が重要です。
例えば、家賃が月8万円で、返済額と管理費の合計が月7万円の物件の場合、満室時の年間手残りは12万円です。
しかし、1カ月空室なら手残りは4万円に減り、2カ月空室が続くと年間収支はマイナス4万円となります。
また、家賃下落については、退去後に現在の家賃を維持できるとは限りません。
周辺の類似物件の募集条件を確認し、現在の家賃と比較することで、将来的な家賃下落幅を見込みやすくなります。
ただし、空室期間の見積もりに全国の空き家率をそのまま使うのは避けたいところです。
2023年の全国空き家率は13.8%でしたが、賃貸用以外の空き家も含まれています。そのため、個別物件の想定空室率とは分けて考えます。
全国値は市場全体の傾向を知る参考にとどめ、駅からの距離や築年数、周辺の募集状況を基に見積もるのが妥当です。
2.修繕費や管理費を差し引くと想定より手残りが減る
物件から得られる手残りは、年間家賃からローン返済額を引くだけでは把握しにくいものです。
管理委託料や固定資産税、保険料なども、現金収支に反映させ、設備交換や原状回復といった不定期の支出も視野に入れておきましょう。
例えば、区分マンションの修繕積立金は、主に外壁や共用配管の修繕へ使われる資金です。
室内の給湯器やエアコン、水回りの修理は、修繕積立金の対象外となるケースがあります。
購入前に設備の製造年と交換履歴、想定交換時期を調べておくと、支出が重なる時期をつかみやすくなります。
さらに、ローン返済額のうち、元本部分は税務上、必要経費の対象外となるのが原則です。
税務上の損益と実際の現金の動きを分けると、購入後の資金不足を把握しやすくなります。
3.金利上昇時は不動産投資ローンの返済負担が増える
変動金利で不動産投資ローンを組む際は、金利上昇後の返済額まで見ておくと安心です。
適用金利の見直し時期や計算方法は、金融機関と契約内容によって異なります。
現在の借入条件も、保有中に変わる可能性があります。
金利環境を見る材料として、日本銀行の方針も押さえておきましょう。
2026年7月31日には、無担保コールレートを「引き続き1.0%程度で推移させる方針」を決定しました。
ただし、政策金利と投資用ローンの金利は別のものです。実際の融資金利は、金融機関の方針や申込者の属性などで変わります。
一例として、借入額3,000万円、返済期間30年の元利均等返済で概算すると、結果は以下のとおりです。
| 借入金利 | 毎月の返済額 | 年間の返済額 |
|---|---|---|
| 2% | 約11万1000円 | 約133万円 |
| 3% | 約12万6000円 | 約152万円 |
| 差額 | 約1万6000円 | 約19万円 |
※手数料を含めない概算です。属性や金融機関の審査、契約条件によって結果は異なります。
4.売却に時間がかかると必要な時期の現金化が難しくなる
不動産は、売却を決めてから現金化までに時間を要する資産です。
査定や販売活動に加え、買主の融資審査から決済まで複数の手続きがあります。
売却期限が短いと、価格条件の見直しを迫られやすい点が課題です。
売却計画では、広告に掲載された売出価格と実際の成約価格を区別します。
国土交通省の不動産情報ライブラリを使い、地域や築年数、広さが近い取引事例を調べる方法が有効です。
市場全体の動きを見ると、2026年6月の首都圏中古マンションの成約件数は4,241件で、平均成約価格は5,208万円でした。
ただし、首都圏全体の平均であり、個別物件の査定額とは性質が異なります。
想定売却価格からローン残高と費用を引くと、手元に残る金額まで把握できるため、複数の価格帯で手残りを比べる方法が現実的です。
5.個人事業主の節税目的の不動産投資は収支を見誤りやすい
個人事業主が節税だけを目的に不動産投資を選ぶと、税務上の損益と現金収支を混同しやすくなります。
不動産の購入代金や支出を、すべて一度に経費へ計上できるわけではありません。
経費として扱える範囲は、不動産所得との関係から判断されます。
建物の取得費は、建物の構造や法定耐用年数に応じて減価償却します。
一方、土地は時間の経過で価値が減る資産と扱われないため、減価償却の対象外です。
また、減価償却費は所得計算上の経費になりますが、ローン元本の返済は原則として経費になりません。
売却時は、譲渡所得を計算する際、建物の取得費から保有中の減価償却費相当額を差し引きます。
保有中の税負担に加え、売却時の税務と手残りも視野に入れるのが基本です。
個別の扱いは、税務署や税理士へ相談すると整理しやすくなります。
不動産投資の最初の一歩|小さく始める3つの方法

不動産投資の最初の一歩として、小さく始める方法は3つあります。
主な選択肢は、REIT、不動産クラウドファンディング、現物不動産です。
ただし、投資額の少なさだけで比べると、それぞれの違いを捉えにくくなるため、換金性や運用期間、管理の手間まで比べると特徴が明確になります。
小さく始める目的は、損失の回避よりも、生活資金への影響を抑えながら仕組みを学ぶことにあります。
値動きや収益の特徴を理解すれば、次の投資判断にも活かせるでしょう。主な違いは以下のとおりです。
| 投資方法 | 換金性 | 管理の手間 | 主な変動要因 |
|---|---|---|---|
| REIT | 市場で売買できる | 原則として不要 | 市場価格、賃料、金利 |
| 不動産クラウドファンディング | 中途解約できない場合がある | 事業者へ任せる | 物件運用、売却、事業者 |
| 現物不動産 | 売却に時間がかかる場合がある | 管理や修繕が必要 | 空室、家賃、修繕、金利 |
※投資金額や解約条件は商品ごとに異なります。少額でも元本割れの可能性があります。
1.REIT|市場売買による換金性と少額の分散運用
REITは、投資家から集めた資金で不動産を保有し、賃料収入を主な原資として分配する仕組みです。上場REITは証券取引所で売買できます。
現物不動産と異なり、投資家自身が入居者対応や修繕手配を担わずに済みます。
多くのREITは複数物件を保有しており、少額から用途や地域を分散しやすい点が特徴です。
用途によって景気や働き方の変化から受ける影響が異なるため、購入前には、住宅やオフィス、物流施設など、保有物件の用途に目を向けましょう。
一方、市場価格は日々変動します。売りやすくても、換金時の価格が購入額を下回ることはあり得ます。
利回りに加え、稼働率や借入金、保有物件の構成まで見るのが基本です。
2.不動産クラウドファンディング|運営を任せる少額投資
不動産クラウドファンディングは、事業者を通じて不動産事業へ出資する方法です。
募集金額や最低投資額は案件ごとに異なります。
物件管理や入居者対応は基本的に事業者が担うため、現物不動産より運営の手間を抑えられます。
最初に見る項目は、想定利回りより分配金の原資です。
家賃を中心に分配する案件と、売却益を見込む案件では、収益の変動要因が異なります。
特に、物件売却によって償還する仕組みの案件では、売却時期や価格が償還時期と受取額を左右する点が特徴です。
また、運用期間中に中途解約できない商品もあります。
優先劣後方式を採用していても、劣後出資額を超える損失は投資家にも及ぶ可能性があります。
元本保証ではない点を踏まえ、運用期間や償還条件、事業者情報まで目を通しましょう。
3.現物不動産|自己資金を残した小規模物件の購入
現物不動産を小さく始めるなら、購入後にも自己資金を残せる価格帯から検討するのがおすすめです。
区分マンションや戸建てでも、空室中は家賃収入が途切れるため、所有戸数が少ないほど、1室の空室による影響が大きいのが特徴です。
予算には、物件価格と頭金に加えて購入諸費用も含めます。仲介手数料や登記費用、融資関連費用が主な項目です。
さらに、取得後の設備交換や原状回復、空室中の返済に備える手元資金を確保しておくことも大切です。
頭金を増やせば借入額を抑えられる反面、手元資金が不足するケースもあります。
そのため、価格の低さだけで決めず、賃貸需要、管理状態、修繕履歴を見比べると将来の負担を捉えやすくなります。
購入後の支出を含めて保有できるかが、小規模物件を選ぶ基準となります。
個人投資家が初めて不動産投資物件を選ぶ際の4つの基準

個人投資家が初めて不動産投資物件を選ぶ際は、利回りだけに目を向けない姿勢が大切です。
賃貸需要、融資条件、管理状態、出口戦略の4点を同じ基準で比較しましょう。
一つの条件が良くても、返済額や修繕費が大きければ手残りは減りかねません。
販売資料にない項目は、売主や仲介会社への問い合わせで補い、説明が曖昧な部分を自分に都合のよい想定で埋めるのは避けたいところです。
| 選定基準 | 主に見る資料 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 賃貸需要 | 周辺募集物件、人口情報 | 家賃、募集件数、想定入居者 |
| 融資条件 | 返済予定表、融資条件表 | 金利、返済期間、ローン残高 |
| 管理状態 | 総会議事録、修繕履歴 | 積立金、滞納、大規模修繕 |
| 出口戦略 | 成約事例、ローン残高 | 売却後に残る金額 |
1.賃貸需要と周辺家賃を比較して空室リスクを見極める
初めての物件選びでは、建物の特徴より先に、想定入居者と賃貸需要を捉えることが大切です。
単身者向けなら、駅までの距離、通勤環境、買い物の利便性が比較項目になります。ファミリー向けでは、間取りや周辺施設も選定材料になります。
周辺家賃は地域名だけで比べず、駅距離、築年数、広さ、設備が近い募集物件を複数調べ、同じ建物や近隣で募集が長期化していないかも確認しましょう。
募集が多い地域では、家賃や入居条件の見直しを迫られることがあります。
地域の価格動向を見る補助資料として、令和8年地価公示では、全国の住宅地が前年比2.1%上昇しました。
ただし、地価公示は標準地の価格動向を示す統計です。
個別物件の家賃や入居率を表す数値ではないため、賃貸需要については周辺の募集状況から別に見極めます。
2.個人の不動産投資は融資条件とローン返済額を比べる
個人の不動産投資で融資を使う際は、金利とローン返済額をセットで比較しましょう。
低金利でも返済期間が短いほど、毎月の負担は重くなりがちです。
そのため、融資手数料や繰上返済の条件を含めた総支払額が比較の軸になります。
返済可能額を12カ月満室の家賃だけで決めるのは避けたいところです。
空室時に給与や事業収入から補う金額も試算の対象に含めます。
また、5年後や10年後のローン残高を把握すると、売却時に追加資金が生じるかを見通せます。
金融機関の返済予定表を基礎資料として確認しましょう。
なお、住宅ローンと不動産投資ローンは資金使途が異なります。フラット35は、第三者に貸す投資用物件には利用できません。
審査結果や金利は、年収や保有資産、金融機関によって変わります。
販売会社の試算に加え、金融機関が示す金利や返済期間、手数料も比べると、返済計画を立てやすくなるでしょう。
3.管理状況と長期修繕計画から将来費用を見積もる
区分マンションを選ぶ際は、室内だけでなく、建物全体の管理状況も確認することが重要です。
外壁や屋上、給排水設備の状態によっては、将来の修繕費が大きくなる可能性があります。
見た目がきれいでも、必要な工事が先送りされているケースがあるためです。
そのため、総会議事録では、漏水や設備故障、修繕工事が繰り返し議題になっていないかを確認しましょう。
また、修繕積立金は残高だけでなく、滞納額や今後の工事予定も確認することが大切です。
残高が十分にあるように見えても、近い時期に大規模修繕を予定していれば、将来的に不足する可能性があります。
さらに、長期修繕計画の作成時期と更新状況も確認しましょう。
古い計画では、現在の工事費や設備状況が十分に反映されていない懸念があります。
長期修繕計画と積立状況、実際の建物状態を照らし合わせることで、将来必要となる費用を見積もりやすくなります。
4.周辺の売却相場と保有期間から出口戦略を組み立てる
出口戦略では、希望価格ではなく現実的な売却価格を基準にすることが重要です。
同じ地域、広さ、築年数の取引事例を基に、保有期間ごとの価格を複数置いて試算します。
広告の売出価格だけでは、実際の成約額をつかみにくいためです。
また、個別物件の売却価格を考える際は、市場全体の価格動向も参考になります。
国土交通省が公表した2025年12月分のマンション(区分所有)の全国指数は225.1でした。2010年平均を100とする季節調整値です。
ただし、この指数は個別物件の値上がりを示すものではなく、市場全体の動きを見るための参考値です。
実際の売却後の手残りを試算する際は、売却価格からローン残高や仲介手数料などを差し引きます。
購入時より値上がりしていても、費用や残債で手元資金が減る点には注意が必要です。
5年後、10年後など複数の時点で売却後の金額を比べると、出口戦略の違いを捉えやすくなります。
不動産投資で個人投資家の失敗リスクを抑える3つのポイント

不動産投資で個人投資家の失敗リスクを抑える3つのポイントは、「購入前の検証」「複数条件での試算」「資金の余裕」です。
リスクを完全になくす方法ではないものの、収支が崩れる条件は事前に把握できます。
販売会社の説明は、公的な取引情報や管理資料、融資条件と照らし合わせて確認します。
販売会社の想定だけで判断せず、空室や修繕、金利上昇が重なる条件でも試算すると、収支の耐久力を測れます。
さらに、急な支出に備える現金を手元に残しておくことで、売却を急がずに済む状態を整えます。
1.販売会社の収支資料を周辺相場と照らし合わせて検証する
販売会社の収支資料で確認の中心となるのは、最終的な利益額より計算の前提です。
想定家賃、空室期間、修繕費、金利が現実的でなければ、表示された手残りも変わります。
そのため、想定家賃と周辺の類似物件における募集条件との照合が重要です。
売却価格は広告の売出価格だけでなく、国土交通省の不動産情報ライブラリで成約事例を調べます。
サブリース付きなら、保証賃料の改定条件や免責期間、修繕費の負担、解約条項も比較し、同じ賃料が続く前提は避けましょう。
また、契約を急かされた際は、その場で決めず、一度資料を持ち帰って確認することが大切です。
説明と契約書の内容に違いがある場合は、その点を質問しましょう。
さらに、公的な相談窓口や専門家の意見も参考にすると、情報の偏りを抑えやすくなります。
2.空室・修繕・金利上昇を含む複数条件で試算する
収支シミュレーションでは、販売資料の標準条件に加え、家賃下落、空室、修繕、金利上昇を反映します。
年間の黒字額だけでなく、支出が重なる月に資金不足とならないかも点検します。年単位では黒字でも、途中で資金不足に陥るケースがあるためです。
最初は一つずつ条件を変え、収支への影響が大きい項目を見つけます。
次に、空室と設備交換、家賃下落と金利上昇など、複数の条件を組み合わせます。
年間収支が赤字に転じる空室月数や金利水準まで計算すると、保有を続けられる境目が明確になります。
条件が少し変わるだけで赤字になる物件は、収支の余裕が小さいと考えられます。
表面利回りの高さより、補填額が生活資金を圧迫しないかを比べるほうが、失敗リスクの把握に役立ちます。
3.ローン返済と突発的な修繕に備えて現金を残す
物件の購入後は、ローン返済と突発的な修繕に充てる一定の現金の確保が重要です。
自己資金をすべて頭金や購入諸費用へ回すと、空室や設備故障が起きた際に生活費から補う事態につながります。
現金は、生活予備資金、購入資金、物件運営資金に分けて管理しましょう。
物件運営資金は、毎月の返済額や固定費を基準に考えます。
給湯器やエアコンなど、室内設備の交換費用も含めて備えておくことが大切です。
確保する金額は、物件の条件ごとに大きく変わります。
築年数、設備状態、修繕履歴、管理組合の工事予定によって支出が異なるためです。
現金を多く残すと、購入時に回せる自己資金は少なくなりますが、収支悪化時に売却を急がず、対応を検討できる余裕につながります。
個人投資家の不動産投資に関するよくある質問

個人投資家の不動産投資に関して、「9割が負ける」「不動産会社のカモになる」といった不安を持つ方もいることでしょう。
しかし、出典や定義が不明な情報は、購入判断の根拠として十分とはいえません。
ここでは、不動産投資を検討する際に気になりやすい疑問について、事実関係を確認しながら解説します。
個人投資家の9割が負けるって本当?
「個人投資家の9割が負ける」という説を裏付ける公的統計はありません。9割という数字を事実とみなす根拠は乏しいといえます。
一方、裏付けがないことだけで、この説自体が誤りだとも断定できないため、数字の根拠と実態は分けて考えることが大切です。
また、「負け」には複数の捉え方があります。毎月の赤字、売却損、想定利回りの未達では、集計対象が異なります。
株式やFXを含む個人投資家の調査を不動産投資に流用すると、比較の前提もずれてしまいます。
購入を検討する際は、根拠が不明な割合よりも、候補物件の収支を確認することが重要です。
空室や金利上昇が起きた場合の手残りと、売却後の残額を試算し、どの程度の収支悪化まで許容できるかを明確にしておくと、購入を判断しやすくなります。
個人投資家は不動産会社のカモになる?
個人投資家が一律に不動産会社の「カモになる」とは言えません。
ただし、相場や契約条件を調べず、一社の説明だけで購入を決めると、不利な条件を見落とすおそれがあります。
そのため、複数の情報源を比べ、販売会社の説明をそのまま鵜呑みにしないことが大切です。
「必ず値上がりする」「家賃保証があるから安心」といった断定的な説明を受けた場合は、根拠や契約条件を確認しましょう。
物件価格は成約事例、想定家賃は周辺の募集条件、融資条件は金融機関の資料と見比べます。
また、契約を急がせる勧誘や、質問への説明が不十分なときは、その場で署名せず、書類を持ち帰ることも大切です。
重要事項説明書や契約書に目を通す時間を設け、必要に応じて第三者にも相談しましょう。
困ったときは、消費者ホットライン188や公的な相談窓口も利用可能です。
不動産投資は若いうちに始めるべき?
不動産投資を若いうちに始めるべきかは、年齢だけでは判断しにくいテーマです。
若い時期は長い運用期間を取れる利点があります。一方、収入や貯蓄が少なければ、空室や修繕へ対応する資金の余裕も小さくなります。
長期ローンは毎月の返済額を抑えやすい反面、注意点もある仕組みです。
返済期間が長いほど、金利変動、転職、家族構成の変化にさらされる期間も延びます。
結婚や子育て、自宅購入の予定も、投資用ローンを含めて資金計画へ織り込む必要があるでしょう。
判断の基準は、生活資金を残せるか、物件収支とリスクを理解できるかです。
条件が整わない段階では、REITの少額投資から仕組みを学ぶ方法もあります。
年齢を理由に急がず、生活設計と両立できる時期を選ぶのが適切です。
まとめ
個人投資家が不動産投資を始める際は、「やめとけ」という意見だけで決めず、目的と資金計画を基準に考えるのが基本です。
空室、修繕、金利上昇、売却の長期化を織り込んだ収支を作り、購入後の手元資金にも余裕を持たせましょう。
最初の一歩としては、REITや不動産クラウドファンディングで小さく始める方法も選択肢です。
現物不動産を選ぶなら、賃貸需要、融資条件、管理状態、出口戦略を一つの物件について総合的に確認します。
不動産投資の失敗リスクは、完全にゼロにはできないものです。
しかし、販売資料を周辺相場と照合し、厳しい条件でも保有できるか検証すれば、自分に合わない物件を避ける判断材料になるでしょう。









