医師の節税方法が気になる方必見|勤務医・開業医別おすすめの税金対策

医師の節税方法が気になる方必見|勤務医・開業医別おすすめの税金対策

この記事では、医師におすすめの節税方法について詳しく解説します。

日々の仕事が忙しく、税金対策を後回しにしている医師の方は少なくありません。しかし、医師として働く多くの方は高所得者であるため、税金対策をしないと手元資産は目減りしてしまいます。

反面、賢く資産運用すれば、医師としての年収だけでなく不労所得による資産形成も叶うでしょう。

今回は、すべての医師が実践できる節税方法はもちろん、勤務医・開業医別におすすめの税金対策を紹介します。

ブログ管理人

節税するときの注意点も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
正しい知識を身につけ、取り組みやすい税金対策から実践していきましょう。

医師が節税対策した方が良い社会的背景

医師の節税対策

節税対策は働いている多くの方にとって重要な問題です。なかでも高所得者である医師は税負担が重いため、節税対策をすれば大きな効果が感じられます。

ここでは、医師が節税対策した方が良い社会的背景について解説します。

高所得ゆえの税負担の重さ

医師の多くは高所得者のため、税負担が大きくのしかかります。「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は1,338万円でした。

さらに、「民間給与実態統計調査」で公表されている2023年の給与所得者全体の平均年収は、460万円です。医師の年収は、給与所得者の平均年収の約3倍と高くなっています。

所得税は累進課税のため、所得金額が多ければ多いほど税率が高くなる仕組みです。所得税と住民税の税率を合計すると最大55%となっており、稼いだお金の半分以上が税金で取られてしまう場合があります。

このように、税に関する知識がなければ、本来払う必要のない税金まで徴収されてしまいかねません。高所得者である医師だからこそ、税金対策をする必要があるといえるでしょう。

インフレと為替による資産価値の目減りリスク

年収が高いとされる医師であっても、インフレや為替変動によって資産価値が目減りするリスクはあります。

インフレとは、物価が継続的に上がっていく状態です。日本国内でインフレが進むと、為替レートは円安に振れやすくなります。なぜなら、国内の物価が上がると相対的に、日本円の価値が下がるためです。

円安になると、輸入品や海外旅行にかかる費用が高くなり、同じ年収であっても使えるお金や資産は目減りします。

このように、高年収を維持しているだけでは、資産は守れない時代ともいえます。リスクを分散させるためには、節税と資産形成を考えて実践するべきです。

医師向け節税対策で手軽な4つの方法

医師向け節税対策で手軽な4つの方法

さっそく、医師向けの節税対策を紹介します。ここでは、非常勤・常勤医師や開業医といった多くの勤務形態の方が手軽に始められる節税対策だけを抜粋しました。

すぐに始められる節税対策を4つ集めたので、順番に実践していきましょう。

活用できる控除を理解する

まずは、広く認知されている控除を知ることが税金対策の基本です。活用できる控除がないか、下記の表をチェックしてくだい。

配偶者控除配偶者の年間所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)の場合に受けられる控除。
所得要件を満たさない場合にも、配偶者の所得金額によって配偶者特別控除が受けられる。
扶養控除配偶者以外の家族の年間所得金額が48万円以下の場合に受けられる控除。
社会保険料控除国民年金・厚生年金・国民健康保険などの1年間で納めた社会保険料を控除できる。
配偶者や同居家族などの社会保険料を納めている場合、合算して控除が受けられる。
生命保険料控除生命保険料・介護保険料・個人年金保険料を支払っている場合に、支払い金額の一部を所得から控除できる。
地震保険料控除地震保険料を支払っている場合に、支払い金額の一部を所得から控除できる。
住宅ローン控除住宅ローン等を利用して住宅を購入・リフォームした場合に、住宅ローンの年末残高に応じて一定金額を所得から控除できる。
医療費控除1年間に支払った医療費のうち、下記のいずれか少ない額を超えた金額を所得から控除できる。
・10万円
・合計所得金額の5%
医療費控除の特例健康診断や予防接種などを行った場合、1年間にセルフメディケーション税制対象の医薬品にかかった費用を所得金額から控除できる。
なお、医療費控除と医療費控除の特例のいずれかを選択する必要がある。
寄付控除国や地方自治体、特定NPO法人などに対して行った寄付金額の一部を所得金額から控除できる。
ブログ管理人

控除を適用させるために、年末調整だけでなく確定申告が必要となる場合があります。要件を確認し、今年の申告分から適用させましょう。

ふるさと納税を活用する

ふるさと納税とは、現在住んでいる都道府県・市区町村以外の自治体へ寄付をする行為です。

寄付額から自己負担金2,000円を差し引いた全額が、所定の上限額内で税金から控除されます。さらに、寄付先の自治体から魅力的な返礼品がもらえるため、非常にお得で活用しがいのある制度です。

ただし、控除される金額には年収や家族構成に応じた上限額が定められています。所得の高い医師であるほど、上限額は高くなる傾向にあります。

ふるさと納税サイトのシミュレーション機能などを活用し、ご自身の上限額を事前に確認しておきましょう。

iDeCoで積み立てをする

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で決めた掛金を積み立てる年金制度です。自分で選んだ金融商品で掛金を運用し、老後に向けた資産形成ができます。

掛金は全額所得控除されるため大きな節税効果が見込めます。iDeCoの運用中に生じた利益は非課税です。給付金は年金として受給すれば公的年金等控除の対象、一時金として受給すれば退職所得控除の対象です。

なお、積み立てられる掛金は、勤務医と開業医とで上限が異なります。

働き方掛金の上限額
民間の勤務医月間2万3,000円(年間27万6,000円)
公立の勤務医月間2万円(年間24万円)
開業医月間6万8,000円(年間81万6,000円)

ただし、原則60歳以降にしか引き出せない点に注意してください。

新NISAで投資をする

NISA(少額投資非課税制度)も医師の方の節税におすすめしたい制度です。

2024年開始の「新NISA」制度では、「成長投資枠」「つみたて投資枠」合わせて年間360万円までが非課税となりました。もちろん、配当にも課税はされず、売却すれば翌年以降、枠の再利用も可能です。
また、非課税での保有期間は無期限、生涯において最大1,800万円まで活用できます。

商社やインフラ事業など、大手企業の配当に期待する投資であれば、リスクは限定的で安心感があります。

余剰資産が見込める医師の方であれば、将来の成長に期待したキャピタルゲインを狙った投資も可能です。アメリカのAIや半導体、インドやベトナムなど発展途上国の成長を見込んで大きなリターンを目指すのもよいでしょう。

勤務している医師におすすめの節税対策

勤務している医師におすすめの節税対策

勤務医向けにおすすめの節税対策を紹介します。

世の中にはさまざまな節税対策がありますが、給与所得者でなければ活用できない制度や、効果が感じられにくい方法があります。
勤務している医師ならではの節税対策について、詳しく確認しましょう。

特定支出控除を利用する

特定支出控除とは、給与所得者が下記の特定支出をした場合に、給与所得控除後の所得金額から差し引ける制度です。その年の特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超える場合、超える金額分を給与所得控除後の所得金額から差し引けます。

給与所得者である勤務医には、原則として経費が認められません。しかし、勤務医の場合出費が多いため、特定支出控除が適用されるケースがあります。

具体的な例としては、下記の費用が特定支出として認められます。

特定支出が認められる例
  • 通勤費
  • 職務上の旅費
  • 転勤にともなう転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • 勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費など)

医師であれば、研修費や勤務必要経費を給料の中から支払うケースが少なくありません。そのため、積極的に活用したい控除制度です。

ただし、給与支払者やキャリアコンサルタントから職務遂行に直接必要な費用だと証明された場合にのみ、特定支出が認められます。手当たり次第に特定支出として計上すると、脱税につながる恐れがあるため注意しましょう。

投資による損益通算を活用する

投資をしている方の場合、損益通算を活用しましょう。損益通算とは、同一年内に発生した利益と損失を合算することです。

例えば、上場株式の取引における損失は「申告分離課税の株式等の譲渡所得の赤字」として扱います。A証券口座で譲渡損失が出た場合、B証券口座で利子・配当所得があれば、A証券の損失をB証券の利子・配当所得から差し引けます。

損益通算しても赤字が残る場合、繰越控除することで翌年以降の3年間にわたって繰り越すことが可能です。

なお、NISA口座で生じた損失は損益通算の対象外な点に注意しましょう。

ブログ管理人

また、確定申告をしなければ損益通算できません。繰越控除も毎年申告をする必要があるため忘れないようにしましょう。

プライベートカンパニーを設立する

プライベートカンパニーを設立すれば給与の一部を会社の収入として計上でき、節税につながります。節税できる理由は、下記の2つです。

  • 個人が納める所得税よりも低い税率である法人税が適用される
  • 事業で必要な経費を計上できる

所得税は累進課税のため、所得が多ければ多いほど高い税率が適用されます。所得税と法人税の税率を下記の表で比較しましょう。

所得税900万円〜1,799万9,000円まで:33%
1,800万円〜3,999万9,000円まで:40%
法人税
※資本金1億円以下の法人の場合
800万円までの部分:15〜19%
800万円超の部分:23.20%

医師の平均年収は1,338万円のため、33%の所得税を納めている方は多いでしょう。なかでも、不動産収入や投資収入が増えた場合におすすめの節税対策です。

ただし、資産を自由に利用できなくなる点や事務作業の手間が増える点に注意が必要です。

開業している医師におすすめの節税対策

開業している医師におすすめの節税対策

開業している医師におすすめの節税対策を紹介します。

開業医は勤務医と違って経費計上ができるため、節税のためにできる対策が比較的たくさんあります。早速実践し、手元に残る資金を増やしましょう。

経費計上できるものを見直す

今まで経費にしてこなかった支出に見落としがないか、改めて洗い出しましょう。計上できる経費が増えると課税所得が減り、節税につながります。

例えば、下記の支出は経費計上できる可能性があります。

設備費社用車やパソコン、OA機器などの購入・維持費用
福利厚生費従業員の健康診断や休憩室の飲み物、社員旅行にかかる費用
出張費学会や研修にかかる交通費やガソリン代、宿泊費
交際費事業・業務に関連する食事にかかる費用や、取引先への贈答品にかかる費用
会議費会議に必要なレンタル会議室や印刷代、飲み物代にかかる費用

上記にある事業のために欠かせない支出を経費計上していなかったのであれば、大きな節税効果が見込めます。

個人事業主の青色申告をする

個人事業主として確定申告をしているのであれば、青色申告に変更するだけで大きな節税ができます。なぜなら、青色申告をすると最大65万円の控除が受けられるからです。

また、下記についても経費計上が可能なため、大きなメリットを感じられます。

  • 事業をサポートする家族への給与を経費計上できる
  • 30万円以下の資産であれば減価償却でなく一度に経費計上ができる

ただし、青色申告控除を受けるには、複式簿記による記帳を行ったうえで、確定申告時に損益計算書と貸借対照表の提出が必要です。場合によっては会計士や税理士へ依頼する必要性があるため、白色申告から青色申告へ変更する際は十分に検討しましょう。

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済とは、国の機関である中小機構が提供する個人事業主や経営者のための退職金制度です。

掛金の金額は月1,000円〜7万円までと幅広く、500円単位で自由に金額を設定できます。掛金はすべて所得控除できるため、大きな節税効果が見込めます。

ただし、共済金は退職時もしくは廃業時にしか受け取れません。また、受け取り時には課税対象となる点に注意が必要です。
一括受け取りの場合は退職所得扱い、分割受け取りでは公的年金等と同様に雑所得扱いとなります。

医療法人化する

個人で経営している診療所やクリニックを法人化させると、節税のメリットを感じられる場合があります。節税できる理由は以下の通りです。

  • 法人税の税率は固定のため、累進課税の所得税と比べて税負担が抑えられる可能性がある。
  • 法人であれば低税率で退職金を準備できる
  • 事業をサポートしている家族を法人役員にすれば役員報酬を支払える

ただし、経営の柔軟性がなくなり、設立申請・登記などの複雑な手続きが必要な点には要注意です。また、一定の開業・事業資金が必要となり、資金調達に苦労する場合もあります。

医師の節税対策で勤務医・開業医ともにおすすめ|不動産投資

医師には不動産投資がおすすめ

勤務医・開業医を問わず、医師の方に不動産投資はおすすめできる方法です。なぜなら、家賃収入の不労所得を得ながら、税制メリットを享受できるからです。

不動産投資のメリットは、継続的な家賃収入が得られる点です。本業の収入に加えて安定したキャッシュフローが生まれ資産形成において大きな安心が得られます。

さらに、ローンで物件を購入する際に加入する「団体信用生命保険(団信)」も、オーナーにとっては大きなメリットです。不測の事態に遭っても、家族に無借金の資産を残せるため、保険的な効果も期待できます。

そして、不動産投資における最大の節税ポイントは、会計上の赤字を本業の所得と合算(損益通算)できる点にあります。減価償却により、現金の支出がなくても経費として認められるため、「キャッシュフローはプラスでも、帳簿上は赤字」にできます。

赤字を本業の所得から差し引き、課税対象額を圧縮すれば、所得税・住民税の還付や軽減につながるのです。

医師が節税対策するときの注意点

医師が節税対策するときの注意点

医師の節税対策について紹介しましたが、やみくもに対策をしても効果が感じられない場合があります。むしろ、損をしてしまうケースもあるでしょう。

正しく節税するには、十分な知識を持ったうえで対策を実践しなければなりません。最後に医師が節税対策するときの注意点について2つ解説します。

医師が業務委託契約を交わしても節税にならない

雇用契約でなく業務委託契約を交わすと効果があると考えている方がいるようです。しかし、結論からいうと、医師が業務委託契約を交わしても所得は「給与所得」に区分されるため節税になりません。

そもそも雇用契約と業務委託契約の違いは、労働に対する対価を「給与」で受け取るか「報酬」で受け取るかです。そのため、報酬で受け取った事業所得・雑所得からは経費計上できるため、節税につながると考えられています。なお、業務委託契約には労働基準法が適用されません。

しかし、業務委託契約を交わして働いたとしても、実態がパート・アルバイトである限り給与扱いとされます。あくまでも一つの業務を依頼し、その成果に対して報酬を支払う行為が業務委託です。

どのような契約を交わしているかよりも、働き方の実態が重視されるため節税にならないと理解しておきましょう。

リスクを理解したうえで投資をする

紹介した節税対策のなかには投資も含まれています。しかし、投資はかならずしも利益を生むとは限らず、赤字になるリスクも理解しておく必要があります。

例えば、不動産投資ですぐに借り手が見つからず、空室のままといったケースはよく聞く話です。また、建物の老朽化によるリフォームや設備入れ替えなどの大きな支出が出てくる可能性は否定できません。

また、手当たり次第に経費計上していると、脱税につながる恐れがあります。明らかに事業に直接関係する支出は経費にできますが、グレーな支出の経費計上は危険です。かならず税理士に相談して判断しましょう。

この記事のまとめ

勤務医・開業医にかかわらず、医師にできる節税対策はたくさんあります。今すぐ始められる対策方法から一定の検討が必要な対策方法まで紹介しました。

ご自身の働き方や資産状況にあわせた節税対策を選択しましょう。将来に向けた資産形成にきっと役に立ちます。

多くの医師の所得は高く、何も対策をせずに納税していると余分な税金を払い続ける事態になりかねません。 早い段階から節税対策を実践して、自由に使えるお金を手元に多く残してください。