公務員は副業でアパート経営できるのか?申請許可やメリット・注意点を解説

公務員は副業でアパート経営できるのか?申請許可やメリット・注意点を解説

この記事では、公務員が副業でアパート経営ができるのか?アパート経営する際の疑問にお答えします。

公務員は副業が禁止されているため収入を増やす手段が限られています。また、「不動産投資は難しそうで失敗しそう」といった心配をお持ちの方も多いでしょう。

しかし、公務員は社会的信用度が極めて高いため、一般企業の会社員よりも不動産投資で圧倒的に有利な立場です。

そこで今回は、公務員が副業でアパート経営するメリットや注意点、節税について徹底解説します。また、公務員がアパート・マンション経営する際のよくある質問にも回答しています。

ブログ管理人

「本業以外に安定収入を得たい」と考えている公務員の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

公務員のアパート経営は副業規定に違反せず可能

公務員であっても国家公務員法や地方公務員法、人事院規則で定められたルールを守っていれば、アパート経営は可能です。

ただし、公務員の副業は原則禁止されている点に留意しなければなりません。一律に禁止されているのではなく、範囲や仕事内容が定められています。アパート経営においても細かな規定が設けられており、その範囲内であれば何の問題もありません。

また、規定を超えるアパート経営であっても、届出によって認められるケースがあります。許可を得るためには、物件規模・家賃収入・管理業務の3つの条件を満たす必要があります。

公務員が副業としてアパート経営する際に守るべき3つの規則

公務員の規則

公務員が副業としてアパート経営をするとき、国家公務員法や地方公務員法、人事院規則を守らなければなりません。

国家公務員法は国の機関で働く国家公務員に、地方公務員法は地方公共団体の公務員に適用される法律です。なお、国家公務員は、労働について定められた人事院規則の遵守もしなければなりません。

ここでは、3つの規則における副業に関するルールを紹介します。

国家公務員法

国家公務員法には、国家公務員の身分や権利・義務、服務に関する規定が定められています。副業に関する規定を下記に抜粋しました。

  • 信用失墜行為の禁止(第99条):公務員全体の信用を損なう行為を禁止
  • 秘密を守る義務(第100条): 職務上知り得た秘密の漏洩を禁止
  • 職務に専念する義務(第101条):本来の職務への専念の義務付け
  • 私企業からの隔離(第103条):営利企業の経営や兼業を禁止
  • 他の事業の関与制限(第104条):報酬を得る副業には許可が必要

国家や国民に奉仕する立場である国家公務員は、本業に専念しなければなりません。そのため、自己の利益を追求する行為や本業に支障をきたす行為は禁じられています。

また、信頼を失いかねない言動もしてはならないため、民間企業との親密な距離感や情報漏洩も禁止されています。

参照:国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)|e-GOV法令検索

地方公務員法

地方公務員法には、地方公務員の身分や権利・義務、服務に関する規定が定められています。副業に関する規定を下記に抜粋しました。

  • 信用失墜行為の禁止(第33条):公務員や自治体の信用を損なう行為を禁止
  • 秘密を守る義務(第34条):職務上知り得た秘密の漏洩を禁止
  • 職務に専念する義務(第35条):本来の職務への専念の義務付け
  • 営利企業への従事等の制限(第38条):営利企業で働くことを禁止

地方公務員法にも、国家公務員法と同一の内容が記載されています。

自治体や市民の利益と信用に悪い影響を及ぼす言動を慎み、公務員としての責任を果たさなければなりません。

参照:地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)|e-GOV法令検索

人事院規則

人事院規則とは、国家公務員の給与や勤務条件、災害補償などの労働に関するルールが定められた規則です。副業に関する規則も人事院規則に細かく定められており、下記の範囲なら、本業に集中できると考えられている旨の記載があります。

  • 週8時間以下
  • 月30時間以下
  • 勤務日3時間以下

また、「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」では、不動産運用に関するルールが定められています。 アパート経営を行ううえで、必ず知っておきたい項目です。

公務員がアパート経営の許可を得るための3つの条件

公務員がアパート経営の許可を得るための3つの条件

公務員がアパート経営を行う場合、物件規模・家賃収入・管理業務の3つの条件を知っておきましょう。3つの条件を守れば、原則副業の申請は必要ありません。

しかし、本業に支障が出る、少しでも条件を満たさない点がある場合には、申請を行って承認を得る必要があります。許可なしにアパート経営を始めてしまうと、減給や停職の可能性があるため注意しましょう。

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それでは、公務員に認められているアパート経営の条件について詳しく解説します。

物件規模|5棟10室未満が目安

アパートの貸し出しは、5棟10室未満である必要があります。5棟10室以上のアパート経営をすると事業とみなされ、禁止事項に該当します。

公務員は国家・国民・市民のために働く奉仕者です。私的な事業で利益を上げる行為は信用失墜につながると考えられています。立場上、国や自治体、市民のために職務をまっとうする必要があります。

駐車場の賃貸を行う場合、駐車台数が9台以下であれば、許可を取らずに不動産投資が可能です。

家賃収入|500万円未満が許可の目安

アパート経営で得る家賃収入は、年500万円未満でなければなりません。利益ベースではなく、あくまで年商500万円未満である必要がある点に注意しましょう。

家賃収入が500万円以上になると、公務員法に違反しペナルティが課されます。そのため、物価上昇に伴って家賃を上げると法律違反になる可能性があります。

多くのアパートを経営すると家賃収入が増えるものの500万円に抑えるための設定をしなければなりません。しかし、家賃を下げると利益が減るためバランスが難しいでしょう。

年500万円のボーダーを超えない家賃設定が公務員のアパート経営のポイントです。

管理業務|管理会社に委託しているかが目安

アパート経営において発生する管理業務を管理会社に委託する必要があります。なぜなら、自身で管理業務を行うと、事業を営んでいるとみなされるからです。営利目的の行為は信用失墜につながる恐れがあるため、禁止されています。

アパート経営をすると、入居者募集の広報活動や家賃の徴収、アパートのメンテナンスなどの多くの業務を行わなければなりません。すべて個人で行うと、本業に支障が出る恐れがあります。

ただし、すべての業務を丸投げせずに、家賃の振り込みがない場合は自分で確認する程度であれば問題ないでしょう。

公務員がアパート・マンション経営を行うメリット

公務員がアパート・マンション経営を行うメリット

公務員がアパートやマンションの経営を行うメリットは、多数あります。

社会的信用を獲得している公務員であれば有利な条件で融資を受けられる点は、大きなメリットです。低金利で融資を受けられれば、その分手元に資金が残るでしょう。

また、不労所得が得られるため将来に向けた資産形成の助けになります。団体信用生命保険を活用して生命保険の代わりにする方や、不動産のまま次世代に譲って相続税対策に役立てる方もいます。

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公務員がアパート・マンション経営を行うメリットを知って、前向きな検討を進めましょう。

公務員は不動産投資で有利な条件を受けやすい

公務員は社会的信用度が高い傾向にあるため、会社員や自営業者と比較して有利な条件で融資を受けやすいです。
一般的に低金利ローンだと厳しい条件が求められますが、公務員であれば審査が通りやすいです。

公務員の社会的信用度が高い理由は、勤め先が国や自治体である点です。民間企業や自営業のような経営破綻のリスクがほとんどないと考えられています。

低金利で借入れできれば、その分手元に残る資金は増え、より効率的にアパート経営ができるでしょう。

給与と別に安定した不労所得が得られる

公務員としての給与とは別に、安定した不労所得が得られるのもアパート経営のメリットです。

公務員は原則副業禁止とされているため、所得を増やす手段に限りがあります。しかし、決められた範囲であればアパート経営は違反にならないため、始めやすい副業です。

公務員のアパート経営は管理会社に委託しなければならないものの、自身の業務がほとんどないため家賃収入は不労所得になります。入居者が決まれば固定の家賃収入が毎月入ってくるため、生活に彩りを添えてくれるでしょう。

生命保険の代わりや相続税対策としても有効

生命保険代わりや相続税対策として、不動産投資をするケースがあります。

生命保険の代わりになる理由は、不動産購入のためのローンを組むと団信と呼ばれる団体信用生命保険が活用できるためです。ローン契約時に支払い能力のある方であっても、病気や事故によって返済できなくなるリスクがあります。

そのため、死亡・高度障害状態などによって残債分の保険金が受け取れる団体信用生命保険への加入が一般的です。

また、資産を相続する場合、現金だと相続税評価額は100%ですが、不動産だと70〜80%程度です。次世代の税負担軽減のためにアパート経営を行う選択をするケースも少なくありません。

インフレに強い現物資産で資産を守れる

不動産は資産価値が下がりにくく、インフレに強い資産の代表格です。そのため、インフレ下では現金預金よりも不動産投資を選ぶのは賢い選択といえるでしょう。

現在の日本では給料が上がらず、物価だけが上昇している傾向です。物価の変動を可視化するために「消費者物価指数」といった数値が総務省から定期的に発表されています。消費者物価指数とは、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を数値化したものです。

2025年6月20日に発表された消費者物価指数の総合指数は、2020年を100とした場合で111.8となり、上昇傾向を示しました。つまり、現金の購買力は約10%も減少しているといえます。なお、生鮮食品は122.9、高熱・水道は121.2と勢いよく上昇。明らかに現金の価値が短期間で下がっています。

一方で、不動産価格の変動は国土交通省が発表する「不動産価格指数」で可視化されています。不動産価格指数の上昇は、不動産市場が好調であることを示しています。

2025年5月30日に発表された不動産価格指数(住宅)は、2010年と比較して115.6でした。マンション・アパートに限定すると211.8と2倍以上価格が上がっています。

さらに、インフレが起きると家賃が上昇しやすく、現金価値は下がるためローンは目減りする現象が起こります。インフレ傾向が続く現在の日本では、不動産はおすすめの投資先といえるでしょう。

公務員がアパート・マンション経営をする際の注意点

公務員がアパート・マンション経営をする際の注意点

公務員がアパート経営をする際、複数の注意点に留意しなければ最悪懲戒処分を受けるリスクがあります。規模や家賃収入、管理業務の条件の範囲を超える場合、必ず承認を得なければなりません。許可なしにアパート経営を始めると、法律違反となってしまいます。

また、不動産経営におけるリスクも十分に考えておく必要があるでしょう。空室・家賃滞納によって計画通りに収入が得られない場合や、突発的な修繕費によって大きなコストが生じる場合があります。

アパート経営を始める前に、ここでご紹介する注意点を十分に理解しておきましょう。

法律違反で懲戒処分のリスクも考えられる

国家公務員法や地方公務員法では、正しい手続きを経てアパート経営を開始しなければならないと定められています。収入未申告の場合にも、減給や停職、最悪の場合は懲戒処分の可能性もあります。

誰にも言わなければバレないと思っていても、住民税や社会保険料の金額から職場に知られる可能性は否定できません。住民税や社会保険料は、給料と不動産所得を合算して算出されるためです。

公務員がアパート経営をすると必ずバレると考えておき、事前に承認を受けるようにしましょう。

空室や家賃滞納による収入減のリスクがある

アパート経営をしたからといって、かならずしも成功するとは限りません。空室や家賃滞納、家賃下落など、経営に失敗するリスクがたくさんあります。

管理会社に丸投げしていると経営状況が把握できず、対応が遅れてしまいかねません。基本業務は管理会社に任せつつも、自分で空室対策や定期的なメンテナンスを行う必要があります。

不動産を取得すれば、安定した収入が得られると安易にアパート経営を始めないようにしましょう。

想定外の修繕費や維持管理コストも生じる

アパートの修繕費や維持管理コストも侮れません。月々かかる維持管理コストは想定できる一方で、建物の損傷や設備の故障による突発的な修繕費が生じる場合があります。想定外のコストがかかると、想定していた利回りを割り込む可能性があります。

日本では地震や大雨が多く、災害リスクも想定しておくべきです。災害保険や地震保険への加入はもちろん、将来発生する修繕や空室リスクを考慮したうえで収支計画を立てておきましょう。

公務員のアパート経営と税金|確定申告と節税の知識

確定申告

公務員がアパート経営をする際、税金の知識も身につけておく必要があります。

公務員としての収入だけなら勤務先で年末調整をしてもらえるため、所得税や住民税などの確定申告をしなくても問題ありません。しかし、賃貸経営によって不動産所得を得る場合、確定申告をする義務が発生します。

また、アパート経営をするときに所得税や住民税の節税対策も知っておくと、過剰な税金を支払わずに済みます。

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ここでは、公務員がアパート経営をするときに最低限知っておきたい税に関する基礎知識について解説します。

家賃収入は不動産所得として確定申告が義務

公務員がアパート経営をする場合、不動産所得が年20万円を超える場合に確定申告が必要です。確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得について翌年の3月15日までに申告しなければなりません。申告を怠ると加算税や無申告加算税などのペナルティを課せられる可能性があるため注意しましょう。

初年度や大規模改修で赤字になった年などは、確定申告の義務が発生しないケースもあります。しかし、赤字を繰り越して損益通算を行うためには確定申告をしなければなりません。確定申告をすると節税につながる可能性が高いため、よく検討すべきです。

自分で確定申告が難しければ税理士への依頼も検討し、期限までに確定申告を済ませましょう。

赤字は給与所得と損益通算して節税が可能

損益通算をすれば、不動産所得で発生した赤字をほかの所得と相殺できます。公務員の場合、アパート経営で出た赤字を本業の給与所得から差し引き、課税所得を減らせます。

給与所得650万円の公務員が不動産所得で200万円の赤字を出したと仮定します。このとき、損益通算をすればその年の所得は450万円です。すでに勤務先で給与所得650万円分の税金を源泉徴収されているため、確定申告によって税金の還付が受けられます。

健全なアパート経営を目指していても、空室期間が多かった年や大規模改修を行った年には赤字になる可能性があります。損益通算をして、節税を行いましょう。

ローン金利や管理費・修繕費も経費として計上可能

課税対象である不動産所得は、家賃収入から経費を差し引いた額です。そのため、経費として認められる支出はしっかり計上して、税金の払い過ぎを防ぎましょう。

不動産収入を得るために発生した以下の費用は、経費として計上が可能です。

経費計上可能な費用
  • 固定資産税
  • 不動産取得税
  • 損害保険料
  • 減価償却費
  • 維持管理費
  • 修繕費
  • ローン金利(元本は含まれない)

ほかにも、アパート経営に必要なマーケティング調査費や司法書士・税理士への依頼費も計上できる場合があります。

ただし、アパート経営に関係のないプライベートな支出を計上すると脱税を疑われかねません。自分で判断できない場合は、税理士へ相談するようにしましょう。

公務員のアパート・マンション経営に関するよくある質問

公務員のアパート・マンション経営に関するよくある質問

最後に、公務員のアパート経営に関するよくある質問をまとめてご紹介します。疑問を解消し、積極的にアパート経営を検討しましょう。

公務員は不動産投資でフルローンを組めますか?

公務員は、不動産投資で頭金なしのフルローンを組めます。なぜなら、勤務先が倒産する可能性やリストラのリスクが低いためです。金融機関からは、返済能力が高いと評価されやすいです。

給与も年々上がっていくため、20代後半でも低金利でフルローンを組める場合もあります。民間企業のサラリーマンや自営業者と比べても融資を組みやすいため、公務員の肩書きを活かしてアパート経営を始めましょう。

投資用マンション経営とアパート経営の違いは?

投資用マンション(投資用ワンルームマンション・区分マンション)とアパートには、経営面において、空室リスク・修繕・利回りの3つの大きな違いがあります。

下記の表に違いをまとめました。

比較項目投資用マンション経営アパート経営
空室リスク1人の入居者がいれば100%の収益になる複数の住戸があるため空室リスクを分散できる
修繕・維持管理オーナー会社の同意がなければ修繕できない自由度が高いが、修繕費を積み立てる必要がある
利回り総投資金額が低い分、利回りが低くなる傾向にある戸数が多く、購入できる人が少ない分、利回りが高くなる傾向にある

投資用マンションよりもアパートの方が経営面で空室リスクが少なく、利回りも高くなる傾向です。

アパートのローン審査に通るかがネックですが、公務員であれば社会的信用度の高さから返済能力があると判断されやすいでしょう。

公務員が不動産投資する際の届出に必要な書類は?

公務員の不動産投資を認めてもらうための届出に必要な書類は、下記の通りです。

届出に必要な書類
  • 自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)
  • 不動産管理の委託契約書
  • 物件概要書
  • 賃貸条件一覧表(貸借条件一覧表・不動産登記簿謄本・賃貸借契約書)

自治体や所属部署によっても、申請書の種類や必要書類が異なります。事前に上司や人事課の担当者に確認しておきましょう。承認がないまま不動産投資をすると懲戒処分などの対象となるため、気をつけてください。

この記事のまとめ

今回は、公務員のアパート経営について詳しく解説しました。

国家公務員も地方公務員も自身の利益を追求する行為が認められていません。しかし、5棟10室未満までの範囲で年500万円未満の家賃収入、さらに管理業務を委託すれば問題なくアパート経営ができます。

アパート経営は、公務員におすすめの資産形成の手段です。なぜなら、社会的信用度の高い公務員は有利な条件でローンが組みやすく、安定した不労所得が得られるためです。

一方、空室リスクや確定申告の面倒さなどもアパート経営には伴います。メリットとデメリットの両面を理解したうえで、前向きにアパート経営について検討しましょう。